凄腕パイロットの極上愛で懐妊いたしました~臆病な彼女を溶かす溺愛初夜~
 いろいろと忙しいので、ひとまず俺が暮らしていたマンションに菜乃が移り住む形になった。俺の気配がする部屋の方が安心するからここがいいと、菜乃が可愛い発言をするものだから喜んでそれに従った。

 ソファの背もたれに体重を預けてひと休みしている菜乃の前に、冷えた麦茶を入れたグラスを置く。

「ありがとう虹輝さん」

 たまに敬語が抜けるようになった菜乃を愛おしく感じながら、横に座って頭を撫で、髪に指を通して遊ぶ。

「疲れただろう。今日はもうなにもしなくていいから」

「でも……」

「俺も緊張したし、一緒に休む。それならいいだろう?」

 つわりがひどくないからと、菜乃は積極的に家事をこなそうとする。でも明らかに食が細くなっているし、疲労を顔に滲ませるようになった。

 自分でわかっていないのだろうか。

「虹輝さん緊張していたんですか? そんなふうに見えなかった」

「好きな子の前ではカッコつけたいのが男だよ」

 ふふふ、と肩を揺らして笑う菜乃の頬を指でするりと撫でる。夏でもまったく日焼けをしない肌は青白く、やはり心配だ。
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