凄腕パイロットの極上愛で懐妊いたしました~臆病な彼女を溶かす溺愛初夜~
「……でしたら、一杯ごちそうさせてもらえませんか?」

 私と彼のグラスはもう空になっている。緊張しながら椎名さんを見つめたら驚いたような色を瞳に滲ませていた。

「ありがとう。じゃあ、ごちそうになろうかな」

 目元をふっとやわらげた椎名さんは、建物の方に身体を向ける。

 彼の表情から失敗したかなと一瞬思ったけれど、どうやら大丈夫そうだ。

 時刻は二十二時半。一杯だけ飲んでふたりとも部屋に戻った方がいい。男女ふたりが共にするのは、特別な意味を持ちそうな時間帯である。

 背の高い彼のあとに続いてbarの中へ一度戻る。

 状況判断できる冷静さは残っている。だけどこんな大胆な行動を起こすなんて酔っているな……と、火照りを確認するために首筋に手をやった。
 
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