凄腕パイロットの極上愛で懐妊いたしました~臆病な彼女を溶かす溺愛初夜~
 誰も気づかないようなところに目を留め、気後れをするような難しい場面でも、さもそれがあたり前のように行動に移せる。

 誰に対しても細やかな心配りができ、仕事にひたむきな姿は上層部からも高く評価されていた。

 すれ違うときに薄っすら微笑み、頭を下げて見送ってくれる姿は品があり、凛とした雰囲気はたしかに好ましい。

 そう感じたのは、その振る舞いは誰にでもできることではないからだ。

 定時運航を阻む要因はいくらでもあるのだが、それでも定時運航させてあたり前という雰囲気があり、グランドスタッフたちは重圧を背負いながら日々働いている。

 だからピリピリとした空気を放ち、顔から笑顔が消えているスタッフを見かけるときもある。だが彼女の笑顔が崩れているところは一度も目にしていない。

 嵐の中でも堂々と咲き誇る花のようだと思うときさえあった。
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