凄腕パイロットの極上愛で懐妊いたしました~臆病な彼女を溶かす溺愛初夜~
「だけど姉には毎年祝ってもらっているんです。今回の旅行がそれで、このホテルも海が見える部屋を取ってくれたんですよ」

「仲がいいんだな。あまり似ていないような気がしたけど……」

「あっそれは、私たち異母姉妹なので」

 性格が違うように見えたが、やっぱり姉妹だから気が合うんだな、と続けようとしたのに。遮られた挙句、いきなり家庭の事情を語られて面食らう。

「だから絆を感じられるように、姉と私には菜の花の“菜”という漢字が使われているんです。でも結局、両親の離婚を機に姉は父親、私は母親に引き取られて離れ離れになったんですけどね」

 苦い笑いをこぼしながら語る姿からは、とくに悲壮感は漂っていない。もうだいぶ昔のことで、これまでにもこの話は何度もしてきたのだろうと思わせる流暢な口ぶりだった。

 誰だ、新川さんは鉄壁だと言っていたのは。

 むしろ自分から壁を取っ払ってぐいぐい迫ってくる感じすらある。
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