凄腕パイロットの極上愛で懐妊いたしました~臆病な彼女を溶かす溺愛初夜~
「そういえば椎名さんの名前って、虹が輝くと書きますけど、なにか由来があるんですか?」

 俺もこの話をするのは何度目になるだろうか。虹という漢字はやはり印象に残りやすい。

「俺の出産のとき難産だったらしく、陣痛は三日耐え、その間ずっと台風の影響により雨が降っていたらしい。ところが俺が生まれた直後に晴れて、空に虹がかかったそうなんだ。それに両親がいたく感動して、この名前をつけたとか」

「わあ、素敵な話ですね。神様が椎名さんの誕生を祝福してくれたんでしょうね」

 にこにこと花が咲いたような笑顔でいる新川さんをまじまじと眺めた。

 空港で見たときより随分と幼く見える。化粧がいつもより薄いからだろうかと考えたが、こうして間近で見て理由がわかった。酔って頬が桜色に染まっているからだ。

 血色のいい唇とあいまって少女のようにも見える。

 呂律は回っているし、ふらついたりせず背筋を伸ばして立っているから、そこまで酔っているようには見えない。

 もしかしたら見えないだけで相当酔いが回っているのだろうか。だからこんなにも明け透けに話をしているのか。
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