凄腕パイロットの極上愛で懐妊いたしました~臆病な彼女を溶かす溺愛初夜~
 そこでハッとする。ずっと立ちっぱなしって、どうなんだ。

 彼女は会話の中で今日早番だったと言っていた。業務で疲れているはずなのに。

「今更だけど、立ち話もなんだから座ろうか?」

「あっ、そうですね」

 ぴょこっと跳ねるように反応して、俺のあとについてくる姿が親を追いかける雛鳥のようで可愛らしい。

 白い丸テーブルに四脚ある椅子に座って、背もたれに体重を預けた。腕時計で時刻を確認してまだ二十三時を回っていないことに驚く。

 結構話し込んでいる気がしたんだが。

「時間大丈夫ですか? 部屋に戻ります?」

 俺の何気ない仕草にいち早く反応して、隣から少し焦った声が飛んできた。

「大丈夫だよ。でも互いに明日があるし、このグラスが空になったら部屋に戻ろうか」

 俺の言葉に新川さんはこくっとうなずく。たったそれだけの仕草だが、目元を優しく細め、口角をぐっと引き上げた笑顔はとても綺麗だった。

 この笑顔に皆やられているのだろう。

 数多くいる女性の中で、彼女がひときわ男性陣から人気を得ている理由がわかった気がする。
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