凄腕パイロットの極上愛で懐妊いたしました~臆病な彼女を溶かす溺愛初夜~
「トイレに駆け込むときもあり、結局たくさん迷惑をかけました。その中で一番印象に残っているのが、最終便に乗ったときのことです。私は通路側の席にいたんですが、窓際の席が空いているからそっちに移動しようと言われて、素直に従いました。でももうすぐ降りる時間なのに……って疑問もあって。不思議に思っていたら、窓の外に夜景が広がったんです」

 彼女の接客にあたった客室乗務員の思いやりに、俺の胸も温かくなった。

「CAさんが席まできて、『綺麗だよねえ』って笑顔で言ったんです。お姉ちゃんと離れたくなくて、無理を言ってギリギリの時間まで沖縄に滞在していました。初めて夜のフライトに搭乗したので、夜景も初めてですっごく感動したし、なにより寂しくて辛かった気持ちがすっと消えてなくなりました」

 ひと思いに喋ったあと、新川さんは「ふう」と息をついて俺の方へ振り向いた。

「そのときに思ったんです。私もこのお姉さんのようになりたいなって」

 照れくさそうにしながらも、俺の目をしっかりと見た彼女の真っ直ぐさに胸をグッと掴まれたような感覚になる。
< 33 / 248 >

この作品をシェア

pagetop