凄腕パイロットの極上愛で懐妊いたしました~臆病な彼女を溶かす溺愛初夜~
「空が好きなんだ。暇さえあれば眺めているし、家に天体望遠鏡もある」

「え! すごい!」

 目をキラキラさせて趣味の話に相槌を打ってくれるのが嬉しい。

 こんなふうに自分のことを話したのはいつ振りだろうか。俺はそこまで無口というわけではないし、気の合う人間と会話をする機会があれば普通に喋る。

 ただここ数年、深い話をする機会は訪れなかった気がする。

 パイロットになるのも大変だが、なったらなったで苦労は絶えない。毎年何度も審査と訓練を受けなければならないので、空き時間のほとんどを勉強に費やし、体力が落ちないように身体を鍛え、なるべく栄養のあるものを食べるように自炊をしている。

 もちろん息抜きは必要なので、同僚パイロットや同期の整備士たちと飲みに出かけたりもする。でも数ヶ月に一回あるかないかだ。

 この生活に不満を抱いてはいないし、そこまでストレスを感じているわけではない。

 でも……。

 俺の話を引き継いで、星座について語り始めた新川さんを見る。

 彼女との穏やかな時間ならもっと過ごしたいと思う。
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