凄腕パイロットの極上愛で懐妊いたしました～臆病な彼女を溶かす溺愛初夜～

「明日は福岡」

「福岡といえば“博多通りもん”ですよね！　あれ大好きなんです！」

「へえ。食べたことないな」

「嘘でしょ!?　あんなにおいしいものを!?」

　信じられないものを見る目を向けられて、また笑いがこぼれた。

　凛とした姿などどこにもない。それなのにどれだけ大きな声を出しても、彼女がまとう穏やかな空気は変わらずあって、それが妙に心地いい。

「そんなに好きなら買ってこようか？」

「えっ、いいんですか？」

　新川さんは大きな目を更に見開いて動きを止める。

「一番たくさん入っているものでいい？」

「それだと四十個なので多すぎです。えー……どうしよう。八個？　いや、でも十二個の方が……」

　ブツブツとひとり言をつぶやいている真剣な表情を興味深く見つめた。

　甘いものは好きだし、新川さんが夢中になるものがどんな味なのか気になる。