凄腕パイロットの極上愛で懐妊いたしました~臆病な彼女を溶かす溺愛初夜~
 しばらく画面と睨めっこしていたのだが、洗面所から物音が響いてきて慌ててメッセージを作成する。

 そうこうしているうちに、下着だけを身に着けた姉が出てきて、「暑いからこのまま髪乾かさせて」と大きな鏡の前に座ってドライヤーをかけ始めた。

【おはようございます。さっき起きました。椎名さんはもう空の上ですよね。行ってらっしゃい】

 静けさが漂う空気が一変して慌ただしくなり、深く考える余裕もなくメッセージを送信した。

 すぐに返信はないだろう。速くなっている鼓動を姉に気づかれないように私もいそいそと支度を始めた。

 ホテル一階、フロントロビーの奥には約五メートルの天井に浮かぶ、優雅なシャンデリアが象徴的なロビーラウンジがあった。縦長窓からは自然光が差し込んでいる。

 ほとんどの宿泊客は朝食を済ませたあとなのか、私たち以外には夫婦と見られる男女のふたり組しかいない。

 ソファ席に案内されてすぐに様々な料理が並ぶ配膳台へと向かう。

 丸皿に好きな料理を盛りつけ、ドリンクを注ぎ、それらをテーブルへ並べて着席した。
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