凄腕パイロットの極上愛で懐妊いたしました~臆病な彼女を溶かす溺愛初夜~
「男前な椎名さんが本気になったら、相手もいちころですね」

「さっきから俺を美化しすぎだ。むしろ恋愛なんて久しぶりすぎて、どうアプローチしたらいいのか頭を悩ませている」

 またもやなんとも言えない顔をしている紺野を横目で見て、残り少なくなったグラスを空にした。

「紺野って酒に強かったか? まだ飲めるならボトル開けようか」

「いけます。開けましょう」

 酒が好きなのか、俺の発言で急に背筋が伸びた紺野にボトル選びは任せる。はつらつとした姿を眺めながら、新川さんは二十七歳だから、紺野より二歳下なのかと胸の辺りがモヤモヤした。

 俺とは七歳差か。新川さんからしたら、俺ってただのおじさんなんだろうか。

 ぼんやりと考えている俺の手元にあるグラスに、紺野がなみなみと酒を注ぐものだから思わず突っ込みそうになった。

 これでは持ち上げるときにこぼすだろう。

「それじゃあもう一度乾杯しましょう。かんぱーい」

 案の定、グラスがかち合った瞬間に液体が揺れてこぼれ落ちた。

 それを舌でなめとってから一気に腹に流し込み、量が減ったグラスを置いてポケットに入れておいたハンカチで拭う。
< 94 / 248 >

この作品をシェア

pagetop