クールな外科医はママと息子を溺愛したくてたまらない~秘密の出産だったはずですが~
「……そういえば、名前聞いてなかったな」
「美浜、です……荻野、美浜」
「美浜か」
耳元で彼がボソッと名前を囁くと、低い声がくすぐったくて思わず「んっ」と甘い声が漏れた。
それを聞いて彼が顔の横で小さく笑うのを感じた。
由岐先生の手によって一枚一枚服を脱がされ、ベッドの上で肌が露わになる。
それに合わせて彼も服を脱ぐと、スーツ姿のときはすらりとして見えたその体は、筋肉質でしっかりとしていて、彼をいっそう男性として見せた。
ついその体を指先で撫でると、由岐先生はその手を掴みキスをする。
そしてそこから、腕、鎖骨、胸と唇でなぞるように口付けて愛撫をした。
次第に部屋には互いの息遣いと、私の声が響き渡る。
「んっ……あっ、由岐、せんせ……」
名前を呼びながら彼にしがみつくように背中に腕を回す。
彼はそんな私の頭を優しく抱き寄せながら、激しく腰を打ちつけた。
ベッドルームから見える、東京を一望できる夜景を背に、長い時間をかけて体を重ね合う。
熱くなる体は彼を強く求めて、自分にこんな本能があったのだと初めて知った。
「由岐先生……好き、好きです……」
抱かれながら口にした言葉に彼から返事はなく、代わりに口を塞ぐようにキスをした。
由岐先生にとっては、ただの遊びなのかもしれない。
たった一晩だけの、都合のいい相手なのかもしれない。
だけど、それでもいい。
「……美浜」
それでも今、彼の腕の中で名前を呼ばれている。
それだけで私は、運命というものを信じずにはいられない。