クールな外科医はママと息子を溺愛したくてたまらない~秘密の出産だったはずですが~
今からこんなことを考えて不安になってもしょうがないのに。怖くてたまらない。
嫌な想像が頭をぐるぐるとめぐるなか、私は必死に吐き気をこらえるけれど、それと同時にめまいを起こし、視界も歪みだす。
「えっ、ちょっと大丈夫ですか!?しっかり!」
通りがかった人が大きな声で呼びかけてくれるけれど、次第に限界はやってきて、意識が遠のくのが自分でもわかった。
目を覚ますと、背中に少し硬いベッドの感触を感じた。
嗅ぎ慣れた病院独特の匂いを吸い込みながら、見上げた白い天井にここが病院内だと気づく。
あれ、私なんでここに……。
そういえば仕事中に気持ち悪くなって、動けなくなって……そのまま倒れて運ばれたのだろう。
となるとここは内科の処置室だろうか。
目だけを動かしてあたりを見回すと、ベッドの周りはカーテンで仕切られている。
「起きたか?」
横になったまま声がしたほうへと顔を向けると、そこには青いスクラブに白衣を羽織った彼……由岐先生がいた。
その姿に驚きながらも、胸は正直にドクンと高鳴る。
「どうして、由岐先生が……」
「ここは外科の処置室だ。内科の処置室に空きがなかったからこっちに運ばれてきたんだよ」
そうだったんだ……。
先ほどより落ち着いた体調にひとつ息を吐く。
すると由岐先生は私のベッド横へ一歩近づいた。