クールな外科医はママと息子を溺愛したくてたまらない~秘密の出産だったはずですが~
「はーい、みんなもうすぐ先生くるよ。病室に戻ってー」
はしゃぐ子供たちに、両手をパンパンと叩きながら現れるのは薄ピンク色のユニフォームを着た女性看護師……鏡花ちゃんだ。
鏡花ちゃんは私のふたつ年上の24歳で、この小児科内でも歳が近いこともあり一番仲の良い仕事仲間だ。
ハキハキとした鏡花ちゃんの声を合図にするように、子供たちはササッと病室へ戻っていく。
「ったく、みんな荻が来た途端部屋から出ちゃって……荻は相変わらず子供たちにモテるねぇ」
「モテるっていうか、ただの近所のお姉さんって感覚なだけだと思うよ」
鏡花ちゃんの言葉に笑いながら答えた。
看護師さんたちは鏡花ちゃんのような薄ピンク色のユニフォームや、カラフルなスクラブ姿。
そんな中で私の格好はといえば白いブラウスにピンク色のカーディガン、胸元には子供たちが大好きなキャラクターのアップリケをつけている。
小児クラーク……つまりは事務仕事を主に行う、看護師でも医師でもない私は、子供たちからすると『なぜかいつもいる病院のお姉さん』くらいの感覚なのだと思う。
「そういえば明日だけど、仕事終わったらすぐ支度して会場向かう形でいいよね?」
「へ?明日?」
って、なんのことだっけ。
首をかしげた私に鏡花ちゃんはムッと眉間にシワを寄せる。