クールな外科医はママと息子を溺愛したくてたまらない~秘密の出産だったはずですが~
「今回は3歳以下のお子さんを持つお母さんが対象だから、荻野さんもお母さん同士交流を持ってるとなにかあったときも安心かなって。あ、もちろん私も行くよ」
確かに。積極的にママ友を作ろう、とは思わないけれど、近い年齢の子供を持つお母さんと交流を持つのも大切かもしれない。
なにかあったときに相談ができたり、頼の友達づくりにもつながるかもしれないし。
納得すると、私は頷き参加することにした。
それから数日後の日曜日。
私は頼を連れて初めてのランチ会へとやってきた。
開催場所は病院の敷地内にあるとあるカフェで、北欧テイストのお洒落な内装が人気でいつもお客さんでいっぱいのお店だ。
奥にある広めの個室にはキッズスペースも付いており、子供たちは傍で遊ばせながらお母さんたちはランチができるというわけだ。
初めての場所で少し緊張気味に私に抱きつく頼を抱えたまま、私は席に着くと参加者の面々を見回した。
参加者のお母さんたちは、みんな私より少し年上だろうか。部署も違うし、見慣れない顔ばかりだ。
そんな中で誘ってくれた加持さんは私の隣に座りコソッと声をかけてくれた。
「荻野さん、みんな年上だけど緊張しなくていいからね。……あ、でもあの人はちょっと気をつけてね」
「あの人?」
彼女が視線で示す先には、長い髪を巻き上品なブラウスに身を包んだ女性が長テーブルの中央の席に座っている。