クールな外科医はママと息子を溺愛したくてたまらない~秘密の出産だったはずですが~
「俺の子なら尚更きちんと責任は取る。一緒に育てよう」
由岐先生は、私の目を見てしっかりと言い切る。
知らぬ間に子供を生んでいた私を責めたり問いただすこともなく、責任を取ろうとしてくれるなんて。
やっぱり彼は真っ直ぐで責任感のある、素敵な人だ。
『一緒に育てよう』なんて……彼から言ってもらえるのを、何度夢見ただろうか。
嬉しくて泣いてしまいそうになるけれど、すぐに彼には婚約者がいたことを思い出す。
その上隠し子がいたなんて噂になったら彼に対する周囲の心象もよくないだろう。
それよりなにより、私が彼につりあうわけがない。
そんな思いから私は一瞬黙り、唇をぐっと噛むと本音を飲み込む。
「あなたが父親だとしても関係ないです。今朝も言いましたけど、手伝いなんていりません。ひとりで育てるって決めたので」
代わりに出たのは、強がりの台詞だ。
けれどそれでも彼の瞳は揺らぐことなく私を見つめる。
「美浜がそう決めたように、俺は俺で美浜といると決めた」
「なんで……たかが一晩寝ただけの相手なのに」
どうしてそんなに、責任を取ろうとしてくれるのか。
つぶやいた私に、由岐先生は首を小さく横に振った。