クールな外科医はママと息子を溺愛したくてたまらない~秘密の出産だったはずですが~
「明日は院内交流パーティーって言ったじゃない!もう、私そのために明日は日勤にしてもらったんだから!」
ぐっと拳を握り気合いを見せる鏡花ちゃんの横で、私は「そいうえばそうだったね」と苦笑いをこぼす。
年に数回の院内交流パーティー……と言えば聞こえはいいけれど、実際はこの病院で働く医師や看護師、またはその知り合いなどが出会いを求めて集まる、いわゆる婚活パーティーだ。
看護師側からすれば、普段お目にかかれないような部署のエリート医師などとも会えたりする。絶好の出会いの場なのだ。
けれど、そういったものにあまり興味がない私は行くこと自体気乗りしない。
「あ、荻ってば『行きたくないなぁ』って思ってるでしょ」
「そこまでは思ってないよ。ただ気乗りしないなぁって」
「同じことじゃない!」
私の心の内を読むように、鏡花ちゃんは口を尖らせて言う。
「普段会えないような先生とも会えるチャンスなんだよ!?今回はうちの院長の息子も来るって噂だし……出会いは自分から掴み取らなきゃ!」
鏡花ちゃんが気合いを入れるのもそのはず。
うちの病院の若い男性医師はイケメンが多いことで有名だ。
ところが小児科は親しみやすいおじいちゃん先生や女性ドクターが主で、さらには他の科とは離れたところに病棟があるため出会いや交流はなかなかない。
そんな理由から鏡花ちゃんはこのチャンスを活かそうとしているのだろうけれど……。
ひとりの男性の姿を思い浮かべながら、気のない返事をする私に、鏡花ちゃんは察したように言う。