クールな外科医はママと息子を溺愛したくてたまらない~秘密の出産だったはずですが~



そんなやりとりをしているうちに保育所へ着いた。

ところが、なんだか今日は送りに来た他のお母さんたちや保育士さんたちの視線がいつもと違う気がする。

やたら見られている気がするし、ひそひそとなにかを話しているのも聞こえる。



なんだろう、と不思議に思いながら、いつものように入り口で保育士さんへと挨拶をする。



「おはようございます、今日もお願いします」

「はい、おはようございます。頼くんもおはよー」



保育士さんは私を見て、そしてその後ろで頼を床に下ろす由岐先生を見ると、「あら」とにやけた。



「あの噂本当だったんですね。もう、荻野さんってば教えてくれたらよかったのに〜」

「へ?」

「隠さないでいいんですよ!頼くんのパパが由岐先生だって、みんな知ってますから!」



満面の笑みで言う保育士さんの発言に耳を疑う。



「な、なんでその話を……!?」

「昨日ランチ会で由岐先生が宣言した、って参加してたママさんたち皆が言ってましたよ」



それは、昨日のランチ会でのことを指しているのだろう。

あの場で堂々と言ってしまったことからもうすっかり噂になっているらしい。

さらにそこに彼が頼を抱えてここに現れたことで余計信憑性が増した様子だ。

これはどうにかして誤魔化さなければ。



「ち、違うんです!これはその、ね、由岐先生……」

「いつも息子がお世話になってます。よろしくお願いします」

「由岐先生!」



深々とお辞儀をした由岐先生に、保育士さんたちは「キャー!」と黄色い声をあげた。



全く誤魔化す気なし!

な、なんてことになってしまったの……!

せっかくこれまで隠してきたのに。一瞬で広まってしまうなんて。



  
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