クールな外科医はママと息子を溺愛したくてたまらない~秘密の出産だったはずですが~



「なんで誤魔化してくれなかったんですか!」



保育所を出て病院へ向かう途中、強い語気で言った私に由岐先生は意味がわからなそうに首をかしげた。



「別に、事実なんだから隠す必要もないだろ」

「あるんです、こっちにはいろいろと事情が!」



ずっと隠してきたこちらの気も知らず堂々とした態度の由岐先生に、私は眉をひそめて言う。



「だいたい、そんなことを公にして自分がどう思われてもいいんですか?」

「どう思われようと関係ない。俺は俺のしたいようにする」



その返答は彼らしいといえばらしいセリフで、私は「そうですか……」と脱力して小児科のある病棟の方向へ向かい彼と別れた。



どう思われようと関係ない、か……。

私にもそこまでの気持ちの強さがあれば、嘘をつくこともなく、堂々と家族として彼といられたのかな。



そんなことを考え歩く間も、周囲の視線はこちらへ向く。

看護師さんや事務員さん、ついには研修中の看護学生たちからも「あれが由岐先生の……」と声が聞こえ、私は足早に院内を通り過ぎた。




  
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