クールな外科医はママと息子を溺愛したくてたまらない~秘密の出産だったはずですが~



「だから、受け止めてあげたいって思うんです。

私は医師でも看護師でもないから治すことはできないけど。そばにいて話をして、一緒に笑うことはできるから」



それはクラークを勤めるうちに、子供たちと出会い触れ合い、自然と芽生えた気持ちだ。

この気持ちと出会えたのも、あの日由岐先生と出会ったことからの延長線上にある。

そう思うとやっぱり、あの日彼と出会えたことが運命としか思えない。



すると由岐先生の右手は私の頭をそっと撫でる。

不意打ちで触れる長い指にドキッと心臓が跳ねた。



「な、なんですか?いきなり」

「いや、いい子だと思って」

「いい子って……子供じゃないんですけど」

「8歳も下なんてまだまだ子供だよ」



24歳にもなって、しかも母親になって子供扱いされるなんて。

恥ずかしいような、悪くはないような、複雑な気持ちだ。



照れながらも無言でその手を受け入れていると、由岐先生は空いている左手でそっと私の右手をとる。

長い指は私の手を簡単に包んだ、かと思えばそのまま顔に寄せ私の手の甲にある傷跡に小さくキスをした。



「ゆ、由岐先生……!?」



手の甲の薄い皮膚に、柔らかな唇が触れる。

その感触に動揺が隠せずにいる私にふっと笑うと、由岐先生は手を包んだまま。



「美浜のその優しさに、子供たちは守られてるんだろうな。だから時折不安にかられても、次の日には笑顔でいられてる」



その穏やかな声は、医師でもない、看護師でもない、できることなど限られている私の存在を肯定してくれているように聞こえた。



……そういう優しい言葉が、また嬉しい。

胸がぎゅっと鷲掴みにされて、離してもらえない。



  
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