クールな外科医はママと息子を溺愛したくてたまらない~秘密の出産だったはずですが~
ところが次の瞬間
「あー!ラブラブー!」
勢いよくドアが開けられるとともに女の子の大きな声が響き、私は即座に由岐先生から離れた。
「え!?ラブラブ!?してないよ!」
「だって今おぎちゃんとせんせー、おててつないでたもん!」
「つないでないよー!?先生がおてて痛いって言うからみてあげてたんだよ!」
周囲に知らせるかのように大きな声で言う女の子に、私は慌てて誤魔化し、話題をそらす。
「ところでどうしたのかな?」
「ゆうきくんがね、おぎちゃんとせんせーにごめんなさいしたいんだって!」
女の子が指差すほうを見ると、そこには部屋の入り口からこちらを覗き込むゆうきくんの姿があった。
落ち着きを取り戻してから大分泣いたのだろう。その小さな目の下を泣き腫らした顔が胸を切なくさせる。
「ゆうきくんおいで」
声をかけるとゆうきくんはおずおずと入ってくる。そして私と由岐先生に向かって頭を下げた。