クールな外科医はママと息子を溺愛したくてたまらない~秘密の出産だったはずですが~
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頼を生むと決めたとき、私の両親はいい顔をしなかった。
恋人の存在すらも聞いていなかった娘から突然『子供ができた』、『父親はいないけど絶対に生む』と言われれば当然かもしれない。
だけどそれでも、私は生むことを諦めなかった。
人生でこんなにもなにかを譲れないと思ったのは初めてだった。
そんな私に根負けし、両親は生むことを認めてくれた。
母親として、責任もって育ててみせると約束して。
父親がいない形で子供を生み、まだ母親としても人間としても未熟な私は、ときには頼に強く当たってしまうし疲れて動けなくなってしまうこともある。
母親としてまだ胸を張れない、自分の選択が正しいかなんてわからない。
だけど頼の笑顔を見るだけで報われた。
それに加えて今では由岐先生の優しさに触れる度、彼との子供を生んでよかったと心から思える。
この気持ちは永遠に誰にもいえないものだとしても。