クールな外科医はママと息子を溺愛したくてたまらない~秘密の出産だったはずですが~
「くちんっ」
ある日の夜。
お風呂上りのリビングに、頼の小さなくしゃみが響いた。
「あらら、頼おはな出てるよ」
小さな鼻から垂れる鼻水をティッシュで拭い顔に触れると、その体温はいつもより少し高い気がする。
「風邪かな。冷えてきたもんね、あったかくして寝ようね」
「うー」
頼にパジャマを着せると、続いて私も「くしゅんっ」とくしゃみが出た。
まずい、私も風邪ひきそう。
頼もだけど、私まで体調崩してちゃ大変だ。気をつけなくちゃ。
そんなことを考えた、翌朝のこと。
ピピピ……と音をたてた体温計を見ると、そこには37.4の数字が表示されていた。
頼、微熱出てる……。
昨晩の心配は当たってしまい、頼は風邪をひいてしまったようだ。
でも頼を休ませるとなると私も休まなくてはならない。職場の迷惑になるし、極力それは避けたい。
ギリギリだけど保育所は行ける体温だし、預けさせてもらおう。
そう決めて、私はいつも通り支度をすると保育所に頼を預け仕事へ向かった。
うう……私も寒気がする。
明日あたり熱が出そうだし、薬飲んでおこう。
ロッカールームで風邪薬を飲み、小児科へ向かい廊下を歩く。
「あ、荻ちゃん!」
するとその途中、声をかけられた。
振り向くとそこにいたのは、院内の清掃員である原田さんだ。
なにかと顔を合わせることが多く、ちょうど私の母と原田さんが同じ歳、そして私と原田さんの娘さんが同じ歳ということでこうして度々話をする仲だ。