クールな外科医はママと息子を溺愛したくてたまらない~秘密の出産だったはずですが~
「ん?美浜どうかしたか?」
「い、いえ……どうかしたってほどじゃないんですけど、もうちょっとまともな格好してくればよかったかなって」
「格好?」
由岐先生は不思議そうに聞き返しながら、じっと私を上から下まで見つめると、察したように口を開く。
「それはつまり、デートだからもっとおしゃれすればよかった、ってことか?」
「デッ……!?違います!別にそうじゃなくて!デートとか思ってませんから!」
「そうか。俺はそのつもりで誘ったんだけどな」
「え!?」
そうなの!?
デートという言葉に反応して思わず頬が熱くなる。そんな私を見て由岐先生はおかしそうに笑うと私の頭をくしゃくしゃと撫でた。
「大丈夫だ、どんな格好でもかわいいよ」
甘い言葉とともに見せた小さな笑みに、胸がキュンとときめく。
そんな言葉、ずるい。
熱い頬を隠すように両手で押さえていると、たまたま近くを通った従業員の女性と目が合った。
「こんにちは、よかったらご家族でのお写真お撮りしますよ~」
女性が親切心から言った『家族』の言葉に一瞬戸惑ってしまうけれど、由岐先生はすかさず頷く。
「ありがとうございます。頼、象さんと写真撮ってもらおうか」
「きゃーあ!」
喜ぶ頼に、由岐先生は肩車をしたまま私とともにちょうど象がよく映る位置に立つ。