クールな外科医はママと息子を溺愛したくてたまらない~秘密の出産だったはずですが~



翌日。

仕事を終えた私と鏡花ちゃんの姿は、東京駅からほど近い高級ホテルの前にあった。



いつもなら、適当な通勤着に身を包み疲れた顔で帰路につく時間だ。

けれど今日は、鏡花ちゃんは白いレースのタイトワンピースに濃いめのメイク。私はシフォンブラウスにフレアスカート、胸まである髪を丁寧に巻いて、とお互いおしゃれをしている。



「さ、荻いくよ!いざ戦場へ!」

「戦場って……」



気合いを入れてずんずんと歩き出す鏡花ちゃんに続いて、私も歩き出す。

そしてやってきたのは会場となる、ホテル内にあるイタリアンレストランだ。

広々としたレストランを贅沢にも貸し切って行われるのだという。



受付を済ませ中へ入ると、会場内は沢山の人々でにぎわっていた。

男女ともにほとんどが面識のない人の中で圧倒されている私の隣で、鏡花ちゃんは早速辺りを見回す。



「じゃ、荻。あとは単独行動で」

「えっ!?鏡花ちゃん待って……!」



そう言うとともに、足早に人混みの中へと入って行く。そしてすぐひとりの男性に声をかけている姿が見えた。

鏡花ちゃん、なんてアグレッシブ……。

私は自分からあんなふうに行けるタイプでもないし。軽く食事したら頃合いを見て帰ろうかな。



そんなことを考えながら、私はドリンクの入ったグラスを手にすると会場内の壁際に立った。


  
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