クールな外科医はママと息子を溺愛したくてたまらない~秘密の出産だったはずですが~
「……美浜」
すると不意に、由岐先生が口を開く。
「はい?」
「ずっと聞きたかったことがあるんだけど、いいか?」
由岐先生が私に聞きたかったこと?
見当もつかず首を傾げると、彼は言葉を続ける。
「どうしてお前はあの日、俺のことを受け入れた?」
それは、彼と再会し体を重ねたあの夜のことを指しているのだろう。
突然の問いかけに戸惑いながらも、冷静を装い答える。
「言ったじゃないですか、ただの思い出作りって。初恋の人に再会して浮かれちゃっただけです」
「俺も最初はそんなもんかと思った。けど美浜を見てる限り、そんな軽率なタイプには見えない」
私の目をじっと見つめてつぶやく。
その言葉は、由岐先生がこれまで私を見てくれた証。
だけど、この気持ちは正直には言えない。
あの夜、たったひと晩だけでもとすがるような気持ちでつながったこと。
ずっとあの夜の温もりが忘れられなくて、だからこそ頼を生みたいと強く思ったこと。
今でも、あなたのことが好きだということ。
好きだからこそ、どの気持ちも伝えられない。
もしも同情だったら、と由岐先生の本心を知ることが怖い。
周囲の言葉から、つりあわないと思い知らされることがつらい。
……だけど、どれくらいあなたを想っていたか、それだけは伝えたい。
その想いから、口が自然と動く。