クールな外科医はママと息子を溺愛したくてたまらない~秘密の出産だったはずですが~
「……前に、私も親に反発してた時期があったって言ってじゃないですか」
「あぁ、体の弱い妹さんに嫉妬して、って」
「はい。私ずっと、特に母に対して『どうせ私より妹のほうが大切なくせに』って思ってたんです」
妹のことは、もちろん私も大切だった。
けれど私が勉強を頑張っても、なにかを期待しても、母の目はいつも妹に向いていて。
寂しいという気持ちはいつしか嫉妬になってこの心をひねくれさせ、母に強く反発するようになった。
家で無言でいるようにもなったし、妹にも冷たくした。
それを注意した母にきつい言葉をぶつけたこともある。
だけどそれは、あの事故の日をきっかけに変わった。
「だけどあの事故の日……突っ込んできた車は本当は私をめがけていて、でもそのとき母が庇って助けてくれたんです」
いつも妹のことばかりで、わたしのことなんて見ていないと思ってた。
そんな母が必死な顔で腕を伸ばして、私の体を突き飛ばした。
『美浜!!』
次の瞬間、尻餅をついた私の前にはぐしゃぐしゃになった車と血まみれで倒れた母、無数の人の悲鳴が響き渡っていた。
「私を庇って重傷を負った母を見て、ようやく気付いたんです。母が私のことも、ちゃんと大切に思ってくれていたこと。
それと同時に、自分が今まで発してきた言葉のひどさにも、気付いた」