クールな外科医はママと息子を溺愛したくてたまらない~秘密の出産だったはずですが~
そして当日の日曜日。
頼は保育所に預け、私は由岐先生とともに車で出発した。
用事の内容がなにかはわからなかったけれど、ふたりでの外出ということでモスグリーンのワンピースに黒のショートブーツとこの前よりは服装に気を遣ってみた。
「なんか、今日いつもと印象違うな」
「えっ、変ですか?」
「いや。どんな格好でもかわいいって言っただろ?」
ただでさえふたりきりという状況に緊張してしまうのに、そんなことを言われたら余計ドキドキしてしまう。
平常心、平常心。
自分に言い聞かせるように心の中でつぶやいて話題を切り出す。
「あの、それで頼みたいことっていうのは?」
「あぁ。これから俺の実家に一緒に行ってほしい」
俺の実家って……由岐先生の!?ご両親がいる家!?
「じ、実家!?いきなりですか!?」
「事前に言ったら美浜絶対断るだろ?」
「直前に言われるのも嫌ですよ!!」
突然のその言葉に動揺を隠し切れない私に、由岐先生は冷静に前を向いたまま話す。
「うちの親が最近、病院内での俺と美浜の噂を聞いたらしくてな。『一度連れてこい』『来ないならこちらから行く』と言われて、観念して行くことにした」
「ええ……」