クールな外科医はママと息子を溺愛したくてたまらない~秘密の出産だったはずですが~



「でも美浜のことを見下すような発言はやめろ。次同じことを言ったら俺も黙ってない」



鋭い目つきで凄む由岐先生に、智成さんは怯み顔を青くさせる。

するとそこへ突然伸びてきた女性の手が、両者の頭を勢いよく合わせ、ゴツン!と頭突きさせあった。



「いっ……!」



相当痛かったのか、由岐先生と智成さんはふたり揃って声をあげ頭を押さえてうずくまる。

そんなふたりを見下ろすのは、由岐先生のお母さんだった。



「もう、遅いと思って来てみたらいい歳してまた兄弟喧嘩なんてして!美浜ちゃんが困っちゃうでしょ!」

「えっ、いえ私こそ……」

「罰としてお茶の準備はふたりですること!徹也はお茶淹れて!智成はお菓子の準備!」



いいわね!とお母さんは念押しし、私を連れて地下室から出る。



意外とお母さん強い……!

圧倒されている私に、由岐先生のお母さんはリビングに戻りながら言う。



「ごめんなさいね、どうせ智成が失礼なこと言ったんでしょ。

あの子元々徹也にコンプレックス抱いてたみたいなんだけど、徹也が医師として活躍し出してから余計こじらせちゃったみたいで」

「いえ、こちらこそ失礼なことを……」

「でもそれくらい、徹也のことを想ってくれてるってことでしょう?」



ふふ、と笑う由岐先生のお母さんに、私はゆっくりと頷く。


  
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