クールな外科医はママと息子を溺愛したくてたまらない~秘密の出産だったはずですが~
「お礼を言われることじゃないです。私が、嫌だっただけ」
「え?」
「聞き流すのが一番無難だってわかってても、そんなことできなかったんです。
由岐先生が優しいことも努力してることも知ってるのにあの場で黙ってるなんて絶対いやって思っちゃったんです」
はっきりと言い切った私に、由岐先生はおかしそうに笑って、頬に手を添えキスをする。
触れるだけのやさしいものから、キスは徐々に深くなり、彼は私の体をそっとソファの上に押し倒す。
「……美浜、好きだ」
低い声で囁いて、もう一度キスをする。
彼の唇は顎、首筋、胸元へと下り甘い声を誘う。
全身に触れるその唇を受け入れてしまうのは、私も同じ気持ちを抱いているから。
少し暮れるのが早くなった秋の夕暮れの中、私たちは一枚ずつ服を脱ぎ、そのまま体を重ねた。
「由岐、先生……」
好き、大好き。
その気持ちはまだ、声には出せないまま。
あの日以来、二度目の行為。
だけどあの日以上に、深く愛を感じている。