さくらいろさく【短編】
その時、ようやく優奈ちゃんが広場にやって来たのが見えた。
手持ちぶさただった私は、思わず立ち上がる。
優奈ちゃんは手を振りながら向かって来た。
ちらりとみた、男の子の手前で動きが止った。
「…章人(アヤト)?」
「げっ優奈!」
ぽかんとしている優奈ちゃんに、バツが悪そうに男の子が言う。
あやと…くん?
優奈ちゃんのお友達なのかな?
「優奈ちゃん?
友達なの??」
「友達ってゆうか
し…親戚みたいなの…かな?」
私の質問に優奈ちゃんは困ったように答えた。
アレ?
聞いちゃいけなかったのかな?
「じゃあ俺は、もう行くから。」
あやとくんはそう言うと、道具を片付けて無表情のまま公園をでていった。
その日、夕方まで優奈ちゃんと公園で遊んだ。
けど、いつもみたいに優奈ちゃんは笑ってるけど
いつもよりポーッとしていて
元気が無かった気がして
気になった。
あやと君のことも。
優奈ちゃんが元気の無い理由と関係あるのかな。