さくらいろさく【短編】
私の大好きな桜の木が、章人くんの目にどう写っているのかを知りたくて、恐る恐る聞いてみた。
「ねぇ、絵観てもいぃ?」
すると、一瞬驚いた様な表情をして でもすぐに笑顔で答えた。
「いいよ。」
無表情な今までの顔から、想像出来ない様な、フワフワの笑顔だった。
私は嬉しくなって、近くに駆寄っていった。
章人くんは、しっかりとした幹の特長を捕らえて、葉っぱ1枚を描くのにも真剣に丁寧に描いていた。
「うわぁ…。
上手だね!すごいねぇ!」
私は、小学生でこんなに綺麗な絵を描く子は見た事が無かったので、驚いた。
「ねぇ、こっちもみていぃ?」
「…いいよ。」
章人君の脇に置いてあるスケッチブックを手に取る。