~狂恋~夫は妻を囲う
「洋武くん!」
「デート?」
「うん!聖子は?」
「仕事」
「そっかぁ…寂しいね……」
「うーん。別に」

「………」
「いろちゃん?」
「なんか、洋武くんと聖子っていつも冷めてるね。
夫婦なのに……」
彩羽は、二人がお互いの利益の為に結婚をしたことを知らない。
「そう?
夫婦の形は色々だよ?」
「そうだよね…!ごめんね、変なこと言って……」

「いろちゃん、行こ?せっかくのデートなんだし……」
「うん!じゃあね!洋武くん」
行こうとする、魁聖と彩羽。
「あ……彩羽!!」

咄嗟に彩羽の手を掴む、洋武。
「え…?洋武くん…?
どうしたの?」
「あ、いや、ごめん!咄嗟に……」
「洋武…彩羽から手を離せ……!!」

「魁…聖?」
本当に信じられない程に、態度も口調も雰囲気も変わってしまう、魁聖。
彩羽はガクガク震えていた。
「洋武は、賢いでしょ?
わかるよね?どうすればいいか……」
「………ご、ごめん…彩羽」
「ううん…」

「あー、魁聖くんだぁ」
「あ?今度はなんだよ!?」
そこには左右兄弟がいた。
「右京くん、左依くん!」

「彩羽!!!」
「え?魁、聖…?」
「帰るよ!!」
「え!?でも……」
「彩羽、魁聖と帰った方がいい!
取り返しのつかない惨劇になる!」
洋武までもが、焦ったように言い出した。

「魁聖!久しぶりじゃん!」
「魁聖くんだ!やっぱカッコいい~」
魁聖の同級生達が、口々に話している。

「うるせー!!!消えろ!!?」

「え……?」
魁聖の声はほんとによく通る。
同級生達だけでなく、周りの客達も魁聖を怪訝そうに見る。
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