～狂恋～夫は妻を囲う

｢いい？
賢い選択をしろよ！！
お前等、今からどうするべきかわかるよなぁ……？｣
魁聖がまた通る声で、言い放った。

｢か、魁聖…｣
彩羽が小さい声で呼び、魁聖の服を掴んだ。
｢ん？いろちゃん、ごめんね…また怖い思いさせて……｣
｢帰ろ…？｣
｢うん！そうだね！｣
ポンポンと頭を撫で、優しく微笑んだ。

｢え……あれが、魁聖？｣
｢嘘…あんな魁聖くん、見たことない……｣
｢だから、言ったじゃん！スッゴい甘い顔してたって……｣
同級生達がまた口々に話している。
その中には、美里もいる。

｢でもさ、美里の方が断然可愛いよね…！｣
｢なんかつり合わな━━━━━｣
｢お前等、もう…やめろ！？聞こえてるぞ！！
それ以上言ったら、魁聖が━━━━━｣
洋武の声が響いた。
しかし━━━━━

ザン━━━━━━！！！！
｢キャッ！！！
んー！んんー！？｣
洋武の呼びかけもむなしく、魁聖がつり合わないと言った同級生の口元を掴んでいた。

｢言ったよな！？賢い選択をしろって……
俺はバカは大嫌いだ……もう、消えろ…｣
｢やめて、魁くん！｣
｢魁聖、やめろ！？｣
美里や同級生が必死に止める。

｢魁聖！！お願い！！やめて！！｣
彩羽も止めに入る。
｢早く、死ね…ゴミ……｣
｢ダメ！！魁聖、ほんとに死んじゃう！？
魁聖！！！｣
彩羽は魁聖に後ろから抱きついた。

｢………｣
すると魁聖は、ピタッと動きが止まった。
｢ゲホッ！ゴホッ！
はぁはぁ……｣
同級生はその場にへたりこんだ。