猫かぶりな僕ら
ヤバい、バレた。
 
 優等生だと何かと都合が良い。

 そう感づいたのは、幼稚園の頃だった。
 大人しくしていれば先生は優しい、言う事を聞けば喜んでくれる。
 いたずらをして先生に怒られている子達を見て、どうしてそんな事をするんだろうと思った。

 小学校に上がっても、中学生に上がっても、変わらず優等生の仮面を被っていた。
 平和に、何事もなく穏やかな学校生活を送る為に。
 おかげで陰でバカにされる事はあっても、表立っていじめられる事もなかった。

 私の中での『優等生』とは、平和に生きる為のカードだった。

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