猫かぶりな僕ら
(イベントもそろそろ終わるし、早く走らないと……)

 ブレザーのポケットに忍ばせたスマホを触りながら、準備室の扉を開ける。
 教室でゲームをするクラスメイトもいるが、それだと先生受けがあまり良くない。
 だからこうして人目を忍んで、コッソリとゲームをしたり漫画を読むのが私の日常だった。

 視聴覚準備室の椅子に座り、行儀悪く机に足を乗っける。
 スマホにイヤホンを繋いで、アプリを起動してポチポチと画面をタップしていく。

「~~♪」

 鼻歌を歌いながら、ひと時の休憩を楽しむ。
 もし先生がこんな姿を見たら、『雪ノ下さんがどうしてっ……』と驚くだろう。

 そんな風に、余計な事を考えていたのがいけなかったのかもしれない。

 ポンポンと肩を叩かれ、驚きのあまりスマホを太ももの上に落とす。

< 3 / 12 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop