猫かぶりな僕ら
敗北宣言(仮)
――終わった。
そう感じてからさほど経っていないのに、まるで終わらない永遠の時間が流れている気がした。
小町先輩は相変わらず私の肩に手を置いたまま、ニタニタと意地の悪い笑みでこちらを見下ろしている。
もう優等生ぶったって意味はないというのに、私も悪あがきで笑顔を張り付けた。
「どうしたんですか、こんなところに。何か探し物ですか?」
「それはこっちの台詞だよ、優等生の雪ノ下さぁん」
「……私の事、ご存知なんですね」
「そりゃあ知ってるよ、真面目な子って評判だから。てか雪ノ下さんも俺の事知ってたんだ」
「小町先輩も、一年生の間では有名人ですから」
逃げたい。今すぐこの場から走り去りたい。
先輩の手を振り払ってしまえば良いのに、圧のある笑顔の所為で身動きが取れない。
小町先輩はそんな私の気持ちにも、きっと気づいている。その上で解放してくれないのだから、なんとも性格の悪い人だ。