猫かぶりな僕ら
「――……雪ノ下さんはさ、どうして優等生やってんの?」
「だってその方が楽じゃないですか、色々と。楽したいし、めんどくさい事嫌いなんで」

 お互いスマホをいじりながら、ぽつぽつと会話をする。

「そういう小町先輩は、どうして優等生のふりを?」
「性格悪いの隠してたらいつの間にか」
「身も蓋もない」

 その言葉を最後に、また無言の時が流れる。

(勝手に苦手意識持ってたけど、害はない人なのかも……)

 それなら、今までと変わらず平和な学校生活を送れそうだ。
 そう先輩を横目にスマホに熱中していたけど、ふと壁にかかった時計を見るとあと5分で昼休みが終わる時間を示していた。

「あー、もう昼休み終わっちゃいますね。そろそろ教室戻りましょうか」

 スマホをポケットにしまって立ち上がり視聴覚準備室を出ようとすると、不意にまた肩を掴まれる。
 なんだか嫌な気配がして振り向くと、何かを企んでいるような気味の悪い笑顔がそこにあった。

「――明日の昼休み、またここに来いよ。ちなみに後輩に拒否権はないからな」

 前言撤回。やっぱりこの人苦手だ。
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