白鳥とアプリコット・ムーン ~怪盗妻は憲兵団長に二度娶られる~
愛する妻が翡翠色の瞳を潤ませてウィルバーを求めている。この瞳の色がウィルバーを魅了する。彼女しかいないと思っていたのに、いまのウィルバーはローザベルを抱きながら、脳裡でアプリコット・ムーンのことばかり考えてしまう。これは、彼女に対する裏切りになってしまうのだろうか。
ナイトドレスの裾をたくしあげ、下着を脱がせたウィルバーは、すでに潤みきった妻の蜜壺に指を差し込み、逡巡する。自分の方が欲しいと彼女を押し倒したのに、彼女の身体はすでにできあがっている。
「ローザ……もうこんなに濡らしてしまったのかい」
「だって、だってぇ」
寝起きの頭の働かない状態ではじまったウィルバーのキスと愛撫でローザベルの身体はとろけそうになっていた。彼にふれられるだけで、彼女は気持ちよくなってしまう。ましてや今日の彼は、怒りを裡に潜めている。
「ウィルバーさまの無念を晴らせるのは、わたしだけ、ですから」
ウィルバーのいきり立った分身はまるで妻ではない女に向けて精を放ちたがっているかのようだった。
ローザベルは心のなかでこっそり呟く。
――ほんとうは、めちゃくちゃにしてほしい。