白鳥とアプリコット・ムーン ~怪盗妻は憲兵団長に二度娶られる~
ぺろりと舐めはじめれば、ひくっ、と女怪盗の身体が跳ねる。それが面白くて、ついつい着衣を乱しながら、必死になって立っている彼女の背中の傷を舐めていく。
「ぁん……だめ……」
「可愛い声も出せるんじゃねぇか」
びりびりに裂かれた怪盗アプリコット・ムーンの黒装束の中身は、噂にあったグラマラス美女の身体ではなく、まだ少女と呼んでも過言ではない幼さが残った裸体だった。
だというのに男を知っているのか、小振りな乳房には紅い花が散っている。
「やだ……見ないで」
「こんな貧相な女怪盗を抱いた男がいるのか……? 面白ぇな」
一昨日の夜、夫のウィルバーが「愛している」と囁きながらつけてくれた接吻の痕だ。だというのにいまの彼は別の男がつけたものだと認識している。そのうえ「貧相」だなんて。
「まぁ、見た目が美人だからな……すこしくらい胸がなくても気にするな」
「きゃっ」
「感度もいい。調教のしがいがありそうだ」
ふにっ、と彼の手のひらで乳房を包まれ、そのまま指先で桜色の尖端を摘ままれ、ローザベルの身体が反応する。