白鳥とアプリコット・ムーン ~怪盗妻は憲兵団長に二度娶られる~
ウィルバーと怪盗アプリコット・ムーンと愛玩奴隷
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「欲しいのはお前だよ、怪盗アプリコット・ムーン……」
必死になって追いかけていた怪盗アプリコット・ムーン。ようやく捕まえて、花の離宮の神殿跡地にある美しい監獄へ閉じ込めた。
「うそ」
「……国王陛下には既にお伝えしている。返事はまだないが、な」
思わず短剣で彼女の背中を傷つけ、身体検査だと理由付けて無理矢理着ていた服を切り裂いてしまった。
いま、ウィルバーの前には黄金色の魔法封じの枷を両手両足につけられ鎖につながれた全裸の乙女がいる。
雪のように真っ白な肌と、まっすぐな長い黒髪、深緑を彷彿させる瞳に、薔薇の花のように艶やかな唇……
これが、一年近く追い求めてきた、女怪盗の正体……ウィルバーは裸に剥かれ羞恥に肌を薄紅色に染めた無防備なアプリコット・ムーンの姿を満足そうに見つめ、頬を緩ませた。
「無茶よ」
じゃらりと鎖を鳴らしながら即答するローザベルの前で、ウィルバーは笑う。
「そんなこと、やってみないとわからないだろ。それに離宮の管理を任されている俺の手にはお前を閉じ込めている檻の鍵がある。花の離宮の外に出さない限り、何をしても文句は言われまい」