白鳥とアプリコット・ムーン ~怪盗妻は憲兵団長に二度娶られる~

 もしかして、ローザベルが言い残した言葉を、彼は忘れていなかった……?

「何を考えているんだ」
「ぁん」
「檻の外に出られるからって調子に乗るようなら、お仕置きだからな」
「ん……」

 食べ終えた朝食のトレイを床の上に置いたウィルバーはローザベルの身体をそのまま抱き寄せ、口づけをはじめる。ピンクの透け透けのガウンから、乳首が勃ちあがっているのが丸見えで、まるで自分から誘っているみたいな気分になったローザベルは、くたりとウィルバーに身体を預けて吐息をこぼす。

「今朝はずいぶん素直だな。このままここで可愛がってやりたいところだが、つづきは城に戻ってからだ」

 ローザベルの唇や鼻の頭に繰り返しキスをしていたウィルバーは、そう言って、彼女の長い黒髪にもキスをした。
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