白鳥とアプリコット・ムーン ~怪盗妻は憲兵団長に二度娶られる~

 結婚した頃よりも過激で執拗なウィルバーの愛撫を受けた身体はとろとろに蕩けている。彼の筋肉質な胸へと身体を凭れかけたまま、ローザベルは必死になって舌を絡める。
 ウィルバーのおおきな手に濡れた頭を支えられて、言葉を交わすことなくただひたすら唇を、舌を、ふれあわせる。
 どちらが求めたのかわからないまま、くらくらするほどの甘ったるい薔薇の香りに酔いながら、長い時間――あたまのなかが真っ白になるキスをしていたから。

 そのまま、ローザベルはのぼせて意識を失ってしまった。
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