白鳥とアプリコット・ムーン ~怪盗妻は憲兵団長に二度娶られる~
烏座の副団長とローザベルと双子座の幼馴染
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ラーウスの古民族のなかで、ノーザンクロスの白鳥から分かたれた魔法を失った黒き烏。それが、スワンレイク王国憲兵団副団長マイケルの生家、コルブスの一族だ。
スワンレイク王国建国当初に宮廷魔術師としてアルヴスの人間に従ったアイーダ・ノーザンクロスに失望したマイケルの祖父は、スワンレイク王国の繁栄を複雑な目で見つめていた。もし、自分たちの一族に娘がいたら、“愛”を捧げて王国の重鎮の座に就いたのは自分たちかもしれないと。
初代国王マーマデュークが死んで現国王アイカラスが玉座についたときも、恨めしそうに男であるマイケルを見つめるだけだった。あいにくマイケルは“星詠み”のようなちからもつかえない、精霊を見極めるくらいしか能のない、力技のほうが得意なふつうの男だ。
だが、アイカラスが戴冠した際に、ノーザンクロスの一族は“愛”を通じた契約を交わさなかった。そこへしゃしゃり出てきたのが、双子座のジェミナイだ。