白鳥とアプリコット・ムーン ~怪盗妻は憲兵団長に二度娶られる~
『花の離宮の神殿跡地に残された美しき監獄に、怪盗アプリコット・ムーンをつなげ』と。
その後、神殿跡地で“やりなおしの魔法”が発動し、憲兵団長は愛する妻のことを忘れて、捕らえた怪盗アプリコット・ムーンに執着するようになる。
マイケルもまたノーザンクロスの一族にアイーダの後継と目される姫君がいたという記憶を失っていた。
だが、この神殿跡地には魔力が凝っている。皮肉にもマイケルは任務のために毎日を花の離宮で過ごすようになり、多大な魔力干渉を受けた結果、彼女の存在を思い出してしまったのである。
その頃には怪盗アプリコット・ムーンはもともとの夫であるウィルバーの手によって快楽堕ちさせられつつあった。このまま自白させれば一件落着、怪盗アプリコット・ムーンの処遇は王に委ねられ、平穏な日常に戻るだろう……
そう思った矢先に、マイケルはアイカラスが退位しようとしていることを知ってしまう。仕えるべき相手がいなくなることで、マイケルは今後の目的を失ってしまった。
そこに現れ甘言で釣ってきたのが、ウィルバーの様子を見に来た第二皇太子ゴドウィンと。
「カレブ・コルブスのせがれはお前のことか?」
――悪魔のような男、タイタス・スケイルだ。