白鳥とアプリコット・ムーン ~怪盗妻は憲兵団長に二度娶られる~

 このことを知ったジェイニーは国王アイカラスとフェリックスへ報告。フェリックスはゴドウィンに事情を説明し、タイタスの尻尾を捕らえるよう彼に囮役を命じる。
 そしてアイカラスは仕組まれる前に自ら仮死状態となる薬を呷り、ぐーすか眠っているというわけだ。

「あの……そこでなんでわたしとウィルバーさまが」
「暗殺の実行犯役が必要だったの。オリヴィアさまに罪を着せたらタイタスの思う壺じゃない」

 国王アイカラス暗殺の実行犯としてゴドウィンが利用しようとしたのが異母弟ウィルバーと怪盗アプリコット・ムーンの存在だった。タイタスは姉を陥れることで溜飲を晴らしたいようだったが、オリヴィアひとりに罪を被せるとなると、フェリックスの疑いの目が自分達に向いてしまう。暗殺を実行させる人間は別に用意するとでも言って、納得させたのだろう。

「そこで駆り出されたのがコルブスの一族で国王陛下を崇拝しているマイケルってわけ」
「じゃあ、彼がウィルバーさまの鞄に」
「たぶんね。罪に問うことはできるだろうけど、いまはそれより裏で糸を引くタイタスをどうにかしたいんだ……彼はスワンレイク王家を憎んでいるから……」
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