白鳥とアプリコット・ムーン ~怪盗妻は憲兵団長に二度娶られる~

 ローザベルはその理屈がよくわからなかった。けれど、十歳になった際に王城へ招かれ、皇太子アイカラスの亡き弟の息子であるウィルバー・スワンレイクとの婚姻を伝えられたことで理解してしまった。わたしと契ることで、彼はそう遠くない未来に純白の白鳥になる……

 あれから一月しないうちにマーマデュークはこの世を去った。まるでローザベルとウィルバーの婚約を見届けたかのように。
 そして玉座についたアイカラスから離れ、隠居に至った曾祖母の姿から悟ったのだ。
 宮廷魔術師として名高かったアイーダが敬愛していたのは、初代国王ただひとりだった、ということを。
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