白鳥とアプリコット・ムーン ~怪盗妻は憲兵団長に二度娶られる~
まずは、襟元のボタンをひとつずつ、はずしていく。
怪盗アプリコット・ムーンを捕まえたときは、こんな風に慈しみながら服を脱がせることなどしなかった。背中を傷つけ服を切り刻みハダカにして、愛玩奴隷にして口を割らせるのだと理由をつけて淫らな行為を要求し、ラーウスの婚礼装束などという破廉恥なガウンを着せて媚薬で陥落させて……いま思い出しても正気の沙汰ではない。
けれど、死んだように眠る彼女を見ていると、これから自分がなさなければいけないことの更なる卑劣さに慄いてしまう。
催淫睡眠剤という厄介な薬で眠り込んでしまった彼女を起こすには、彼女の胎内に大量の精子を注がなくてはならないのだという。どのくらい動かない彼女に一方的に注がなくてはいけないのかは浴びた薬の量によるらしいが、一度で済むことはないだろう、とオリヴィアに言われてしまった。