白鳥とアプリコット・ムーン ~怪盗妻は憲兵団長に二度娶られる~
ウィルバーは、彼女が“不確定な未来”に悩まされて“やりなおしの魔法”をつかう必要がなくなったことから、毎晩同じ寝室でローザベルのことを今まで以上に甘やかしてくれる。このままじゃ、壊れて何もできなくなっちゃいますと反論しても、彼は俺が君の分までするから問題ないときっぱり言い切って、ローザベルの身体を隅々まで堪能し、快楽に溺れさせる。
「ローザ、愛してるよ。これまでも、これからも」
「ウィルバーさま……わたしもっ」
「今夜、君の心を盗むよ。君が盗んだ俺の記憶の代わりに」
「――もう、盗まれてます」
心も身体も、彼なしではいられないとローザベルが告げれば、彼はそれでもと意地を張る。
「もっと、欲しいんだ……俺も君なしではいられないのだから」
「わたしだって、初めて出逢った頃から彼方のこと――……」
「ああ、そうだな。また教えてくれないか? 俺たちのはじまりを」
「喜んで」
ローザベルだけが知る幼い頃のウィルバーの思い出。