白鳥とアプリコット・ムーン ~怪盗妻は憲兵団長に二度娶られる~
ウィルバーが忘れてしまった初恋を、ローザベルは物語のように、彼に教えつづけることにした。それは、灰色の白鳥の雛鳥が髪の短い魔女の娘と出逢い恋に堕ちる――運命的なお伽話。
「ローザ、俺だけのアプリコット・ムーン……」
身体を重ねて互いに愛を囁やけば、それだけでふたりはふたりだけの魔術師になる。
消えた記憶を抱きかかえて、ウィルバーは愛しいローザベルを二度、娶る。
アプリコット・ムーンの花が咲き誇る離宮の主寝室で迎える二度目の初夜は、まだ、はじまったばかり――……
“White Swan and Apricot Moon”――fin.